知っているようで知らない自動車専門用語の基礎知識。ターボとスーパーチャージャー、その違いとは?ターボは『ターボチャージャー』が正式名であり、スーパーチャージャーと同じく過給器のことで、小さいエンジンでワンクラス上のエンジンに匹敵するパワーを発生させようというものです。
■ガソリンエンジンの仕組み
まずは、ガソリンエンジンの簡単な説明をすると、缶ビールのような円筒状のシリンダーをイメージして下さい。
その中に少し小さめの缶ビールのようなピストンが上下しています。
ピストンが下がる時に、上部の吸入口からガソリンと空気の混合気が吸入されます。
次に、ピストンが上昇して混合気が圧縮され、真上(上死点)の手前で電気火花を飛ばして爆発させます。
混合気が爆発すると、ビストンは押し下げられます。
自転車のペダルを思いっきり踏んだのと同じです。
そして自転車は前に進みますネ!?
これが簡単なガソリンエンジンの自動車が走る仕組みです。
これを自然吸気(NA)エンジンと言います。
■ターボチャージャーの仕組み
ターボチャージャーはこの大気圧の空気ではなく、圧縮した空気をシリンダー内に送り込めば、より大きな爆発で大きなパワーが得られるという発想からスタートしましたが
もともとスーパーチャージャーやターボチャージャーという過給器は、航空機の発達から生まれました。
1903年にライト兄弟が飛行機に原動機を搭載し、その動力で 飛行に成功しました。
その頃の航空機はせいぜい高度100m程度を飛行しているだけでしたが、エンジンの高性能化、機体の高性能化に伴って飛行限界高度はどんどん高くなっていき、問題となったのが、高度が上がると空気が薄くなるということです。
高度が高くなると空気が薄くなり酸素量が減少、燃やせる燃料も少なくなってしまうので、出力が大幅に低くなってしまう。
それを解決するために考え出されたのが、スーパーチャージャーというシステムである。
■スーパーチャージャーとは
これは、エンジンの動力の一部を使ってコンプレッサー(圧縮器)を動かすことで、空気を強制的に圧力を掛けて燃焼室に送り込む、というものだ。
ひと昔前のTV映画の「マッドマックス」に出ていた車は、ボンネットからベルト駆動のプーリーが付いたコンプレッサーが飛び出た車が登場していました。
(画像はYahoo!検索)
あれがスーパーチャージャーですが、実際にはボンネットから飛び出ることはありません。
スーパーチャージャーには、弱点があります。
それはコンプレッサーを駆動するために、エンジンの動力を利用しているということ。
航空機が飛躍的に進化を遂げていた大戦期、より大きな出力を求めたエンジン開発が続くなかで、航空機は高度1万mを超える高さでの飛行が現実のものとなっていった。
そのとき、スーパーチャージャーによる過給では、動力ロスの大きさが問題となり、高高度での飛行が難しくなってしまったのだ。
現在の車でも、エンジンの動力を利用して、
発電機(バッテリー充電)、パワーステアリング(ハンドルアシスト)、エアコンコンプレツサー(エアコン)、ウオーターポンプ(エンジン冷却水の循環)
これらを全てベルトで駆動しています。
■ターボチャージャーとは
そこで考えられたのが、エンジンが排出している排気ガスの力を利用してコンプレッサーを駆動する、ターボチャージャーというシステムだった。
これは、それまでは無駄に捨てられていた排気ガスのエネルギーを利用してコンプレッサーを動かすため、エンジンの動力に対してほとんど影響なく過給をおこなうことができます。
■ターボチャージャーとスーパーチャージャーの違い。インタークーラーとは
エンジンの動力を使って駆動するスーパーチャージャーと違い、排気ガスでは動力源としてパワーが小さく、より効率的に排気ガスのパワー利用するために、タービンの摺動抵抗をなるべく抑えるべく高い工作精度が必要となった。
また、タービンは1分間で数万回転するため、高品位な潤滑油(ターボ用エンジンオイル)も必要となる。
さらに、高温の排気ガスをタービンの羽根に吹きつけて回転力を得るという構造から、耐熱素材の使用は必須となり、そうした素材を開発するための技術力も必要となった。
ちなみに、気体というのは圧力を掛けると熱を発生する、という性質と、もうひとつ、温度が上がると膨張する、という特性も持っている。
そのため、ターボチャージャーやスーパーチャージャーによって圧力を掛けてエンジン内部に空気を送り込もうとすると、その空気は温度が上がり、そして膨張する。そのため、効率良く空気を送り込むためには、吸入気を冷却する必要がある。
そこで装備されるのが中間冷却器、いわゆるインタークーラーというものだ。このインタークーラーも、航空機から技術導入されたものといっていいだろう。
インタークーラーは冷却効率を考慮してアルミ製でエンジン前部の一番前に装備されています。
これにより圧縮空気を冷却して燃焼効率を上げようというものだ。