おくすり手帳

病院の処方箋を持って薬局へ行くと、「ジェネリック医薬品にしませんか」と言われますね?お薬代が安くなるのは間違いありませんが、なぜ安くなるのか?ジェネリック医薬品とは「先発医薬品の特許が切れた後に販売される、有効成分が同等で価格が先発医薬品よりも安価な薬」と定義されます。つまり

ジェネリック医薬品

 

ジェネリック医薬品は「後発医薬品」や「後発薬」とも呼ばれます。

医薬品は工業製品などと同様に研究開発の末に生まれてくるものです。

例えば「ロキソニン錠」で説明すると

ロキソニン錠」は製薬会社の三共(現在は第一三共)が生み出し、1986年から販売を開始しています。

ロキソニン錠は固有の製品名であり、この薬に含まれる有効成分の名前が「ロキソプロフェンナトリウム」なのです。

有効成分の名前は「一般名」とも呼ばれます。

この場合、三共はロキソプロフェンナトリウムの特許を取得し、製造を行います。

そして販売する際のブランド名を「ロキソニン」と名付けたわけです。

この時点で「他に先駆けて」特許を取得して販売にこぎつけ、ロキソプロフェンナトリウムを有効成分とする薬はロキソニンだけです。

つまり

ロキソニンは「先発医薬品」となり、先発医薬品は「先発品」や「新薬」とも呼ばれます。

 

広辞苑によれば特許とは「新規で有益な発明について特許法に基づいて独占権を付与すること」と定義されます。

このケースにおいて「新規で有益な発明」とは鎮痛作用などを有するロキソプロフェンナトリウムのことを指しています。

特許に守られているため、他の製薬会社はロキソプロフェンナトリウムを有効成分とする医薬品を製造販売できません。

つまり、ロキソプロフェンナトリウムロキソニンのブランド名で世に出した三共は同薬を独占的に販売し、利益を上げることができるのです。

しかしながら、

特許による保護期間は永遠ではありません。

一定期間が過ぎると「特許切れ」になってしまうのです。

上記の具体例で挙げたロキソプロフェンナトリウムの独占権もすでに失効しています。

つまり、特許が切れればロキソプロフェンナトリウムを有効成分とする薬を他社でも作ることができるようになるのです。




そして他社が「ロキソニンはよく売れたみたいだから需要は高そうだ」と判断すると、ロキソプロフェンナトリウムを有効成分とした医薬品が登場するのです。

このように、

先発品の有効成分の特許が切れた後に生み出される医薬品が「ジェネリック医薬品」なのです。

ジェネリック医薬品といえども各社ごとに「ロキソニン」のような固有のブランド名が存在します。

しかしながら多くの場合、ブランド名は「有効成分の名前(一般名)+会社名」のように控えめな名前に落ち着きます。

ですが、ジェネリック医薬品になっても薬の有効成分は変わっていません。

ちなみに「ジェネリック(generic)」とは「一般名の」「ノーブランドの」といった意味があり、調剤薬局で受け取る保険が適用される医薬品の価格は国が定めています。

これを「薬価」と呼ばれ、製薬会社は価格決定権を持っていないのです。

ジェネリック医薬品は販売されるにあたり先発品よりも必ず安い薬価が設定されます。

 

これはジェネリック医薬品の有効成分は既存のものであり、開発製造や販売にあまりお金がかからない点・・・つまり開発費用がかからなく知名度が高いことを考慮しているからです。

薬価が安いジェネリック医薬品が普及すれば、私たちが自己負担する、基本的に3割負担の薬代も安くなりますし、残りを国が負担する医療費も結果的に軽減されることになるのです。

先発医薬品とジェネリック医薬品に有効成分の差はありません。

したがって、薬学的に「ジェネリック医薬品は先発医薬品の劣化版」「副作用などの危険性がより高い」「成分が薄いから効果が弱い」といった陰謀論的な批判は的外れなものになります。

一方、先発医薬品とジェネリック医薬品とでは有効成分以外の添加物、形状、味、印字などが各社によって異なることもまた事実です。しかし、この点はデメリットに直結するものではありません。

調剤薬局においてジェネリック医薬品をお願いしても、一部の薬が先発医薬品のままなのは多くの場合「先発医薬品の特許がまだ有効」のケースに当たります。

デメリットとしては基本的に先発医薬品を販売している製薬会社のみということです。
なぜなら、特許が切れればより安い薬価のライバルであるジェネリック医薬品が登場し、シェアを切り崩されてしまうからです。

調剤薬局でジェネリック医薬品を勧められても過度な抵抗感を抱く必要は全くありません。

私もジェネリック医薬品を利用しています。

一日に7錠服用していますが、5錠はジェネリック医薬品ですので、先発医薬品のみと比べると20円程安くなっています。

たかが20円ですが、年間に換算すると、7.300円も浮く計算です。

一時的な服用ならいざ知らず、一生手放せないお薬ですので、助かります。

国としても医療費の削減につながるので、今後もジェネリック医薬品拡大の機運はさらに高まっていくでしょう。