普段ごちゃ混ぜにしていて、一括にされることが多い「消毒」「除菌」「殺菌」「滅菌」「手洗い」これらの単語、でも実は全く異なる意味を持っているのです。使い方も効果も違います。新型コロナ、インフルエンザ予防に効果の違いもあるため、この機会に言葉の意味をおさらいしましょう!
「消毒」の意味?どれくらいの効果があるの?
擦り傷をした時や、手洗い後によく言われるのが「消毒」。
これは菌やウイルスを無毒化することを指しています。
人体に有害な物質を除去または無害化することであり、化学物質の中和を含みます。
または病原微生物の能力を減退させ病原性をなくすことであり、無菌にすることではありません。
「消毒」とは、あくまでも人体に害のない程度に菌やウイルスを無毒化するという意味なので、完全に死滅した状態にはなりません。
製品では薬機法(薬機法とは、旧薬事法が改正され、 2014年(平成26年)11月、名称変更と共に施行された法律です。)に基づき、
安全性や有効性が認められたもののみ「医薬品・医薬部外品」の名称がつけられます。
現在「JR東日本」や「JR西日本」では、車内清掃時に吊り手や握り棒などの消毒を実施。
人の出入りがある飲食店やカラオケ店では、入口にアルコール消毒液を置く店舗が増えています。
万が一ウイルスが体に入っても消毒していれば無害化できるのです。
「除菌」の意味ってなに?「消毒」との違いは?
「除菌」は、菌やウイルスの数を減らすことを指します。
こちらは「消毒」とは対照的に、「医薬品・医薬部外品」以外の洗剤やアルコール製品に記されることが多い表現ですが、
その理由は薬機法上、医薬品ではない製品に「消毒」や「殺菌」などの言葉が使えないため。
実際には「消毒」と同じように、無毒化できる製品もあるようです。
表面から菌が減れば「除菌」といえるのがこの言葉。
つまり、洗って何度でも使える布マスクは除菌状態と言えます。
洗い方に気を付ければ極力清潔な状態で布マスクを利用することも可能です。
殺菌(さっきん)とは、
病原性や有害性を有する糸状菌、細菌などの微生物を死滅させる操作のことである。
滅菌と違って具体的な程度は定義されておらず、効果は保証されません。
電磁波、温度、圧力、薬理作用などを用いて細菌などの組織を破壊するか、生存が不可能な環境を生成することで行わます。
病原体の除去(感染症の予防)、食品の鮮度保持、などが主な目的です。
対象とする細菌などによっては効果が期待できない方法もあります。
人体や有益な生物への障害、高熱や腐食による装置の破損、食品の風味の変質などを引き起こすことがあるので、適切な方法を選択することが重要です。
低温殺菌法のパスチャライゼーション(英語名: pasteurization)はルイ・パスツールからきている。
滅菌(めっきん)とは、
増殖性を持つあらゆる微生物(主に細菌類)を完全に殺滅又は除去する状態を実現するための作用・操作をいう。滅菌に関する国際規格であるISO 11139においては、ある物について微生物が存在しない状態にする検証された工程であるとしている。
予防の基本「手洗い」は効果がある?
「消毒」と「除菌」、どちらを謳う製品であっても全ての菌やウイルスに効果があるわけではないので注意が必要です。
厚生労働省によれば、手指についたウイルスの対策は「手洗い」が最も重要とのこと。
手を洗わない場合、100万個のウイルスが手に残っています。
流水で洗い流すだけでも1%の1万個まで減らすことができます。
さらに、ハンドソープを使うことでウイルスの量は著明に減少させることができます。
ハンドソープで10秒もみ洗い、さらに流水で30秒流すことで0.0001%、ウイルスの数としては約数個まで減らすことができます。
一方で、ハンドソープでのもみ洗いを長くしてもあまり効果に変わりはありません。
アルコールの使用については、流水で手をすすぐのと同程度の効果との結果です。
◆手洗いで大切なのは、「洗い流すこと」です。
石鹸、ハンドソープを用いることでウイルスの脂質を溶かし、手の表面の汚れを落とす効果があり、さらに流水で洗い流すことで手の表面からウイルスを除去できます。
アルコールの使用が盛んにいわれますが、なによりも手洗いが感染予防においてとても重要です。
◆手洗いが気になる方は?
手洗い、アルコール消毒を行うと手の荒れがひどくなるという方も多いでしょう。
手が荒れやすい方は、手洗いや消毒で皮膚のバリアが弱まり、そこから感染を呼び込んでしまいます。
しっかり手洗いをすることが可能であればアルコール消毒は必須ではないと考えます。
ハンドクリームを携帯し、手洗いの後のハンドケアまで一緒に行うことをおすすめします。