北朝鮮

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の弾頭部に搭載できる水爆実験が成功し、金正恩が視察した様子を伝えている。その際に、「強力なEMP攻撃もできる」と報じた。北朝鮮の金正恩が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の弾頭部に搭載できる水爆実験が成功 「強力なEMP攻撃もできる」と報じた。

EMPとは、上空で核爆発などを起こすことで発生する電磁パルス(EMP)のことで、そのエネルギーが地上のインフラや電子機器などを麻痺させる可能性があるとされている。

一方で、米国では電磁パルス攻撃に懐疑的な見方も少なくない。電磁パルス攻撃が1960年代から研究対象になっている米国で、EMP攻撃についてどのような「懐疑論」が出ているかを紹介・検証してみたい。

そもそも、EMPとは、高度数十~数百キロの大気圏で核爆発などを起こすことで発生する【電磁波】のことだ。

その結果、電磁パルスが地上に波及し、大規模な停電や、電力を使う機器、交通網、通信といったインフラを壊滅させるという。

電子デバイスの無力化は、インフラだけでなく、自衛隊など国の防衛システムにも影響を与えかねないと言うもの。
強力な電磁パルスが発生すれば、電子機器などに損傷を与えることは間違いない。
2004年には、北朝鮮にミサイルや核開発の技術協力していたロシア人科学者からEMP技術が漏えいしたと、CIA(中央情報局)が暴露している。

それが事実であれば、北朝鮮がEMPを研究してきた可能性はある。ただ

米国

では「EMPが脅威ではない」と主張する専門家たちが多数いる。

まず、戦略上の観点からいくと、「わざわざ北朝鮮がEMP攻撃などというまどろっこしい攻撃を仕掛けてくるはずがない」というものだ。

「北朝鮮が核兵器を手にし、米国の上空で爆破させるなら、その後は何が起きるのか? 答えは簡単だ。

即刻、近くに展開する艦隊、日本の米軍基地、韓国からの米国の猛反撃で、小国の北朝鮮は一瞬で消滅するのは、金正恩も承知の明白な事実。自国内に敵軍が上陸したとしても、動かない戦車では、太刀打ちできないでしょう。

ならば、なぜEMP攻撃などという無駄なことを宣言するのか。核兵器を私たちに向けて発射するなら、EMP攻撃という、時間の無駄ともいえる攻撃はしないでしょう。つまり、

核兵器

を発射した時点ですでに報復となる核兵器の嵐が降り注ぐことになるのに、何のためにEMP攻撃をするのか、という疑問を投げかけているのだ。

狙うなら、都市部の機能の麻痺という遠回りなものではなく、基地あるいは行政機関を直接攻撃して、反撃機能を麻痺させることを優先するだろう、ということだ。 また、核兵器による攻撃は無論脅威だが、EMP自体は現在重大なリスクであるとは言えないだろう。

なぜなら、EMP攻撃を仕掛けるためのコストは莫大で、一方それによって与えられるダメージは実は限定的なようだ。

ターゲットとする地域にダメージを与えたいのなら、もっとコストのかからない別の方法を使った方が、もっと効率がいい。

EMP攻撃に対する否定的な見方は他にもある。「ディストピア(暗黒の世界)を描いたSF小説にすぎない。

核爆発によって電気システムに干渉するEMPが生じることは確かだが、広島や長崎のように、都市で原子爆弾が爆発すればそれだけで非常に大変な大惨事をもたらす。

SF小説仕立てにしなくても、核兵器は十分恐ろしいものなのである」と一蹴している。




過去にあった2つのEMP実験についても、ひとつは1962年にハワイ近くの太平洋上で行われた核実験で、もうひとつは、ソ連が1962年にカザフスタンで行なった核実験だ。

どちらもEMPを生み出して電力や電話線などに被害を与えたとされるが、ハワイのケースですら実際にどこまでの被害が出たのかについては諸説ある。

ハワイのケースは、「Starfish Prime(スターフィッシュ・プライム)」というコードネームで行われた実験だった。

冷戦下でソ連のレーダーや通信システムを無力化する目的で研究が行われ、上空約400キロで長崎に落とされた原爆の100倍という核爆弾を爆発させた。

ところが、一部の信号機が停電したことは確かだが、それ以上の大した影響は起きなかったとも言われる。

また、例えば米議会のEMP脅威評価委員会による2008年の検証で、実際に55台の車両にEMP攻撃を行ったところ、6台のエンジンをかけ直さなければならなくなっただけの被害だったと。

この実験結果からEMPで「米国民の90%が死亡する」なんてことはなさそうだと皮肉る専門家もいる。

本当にEMPの効果を検証するならば、ハワイや委員会の実験結果について、改めて調査する必要があるだろう。

ただ、EMPを使った兵器の開発は世界的にも行われている。実は日本でも研究は始まっており、このEMP攻撃の研究にはすでに税金が投入されている。

防衛省は軍事技術の取得を目指す「防衛技術戦略」の一環として、2018年度軍事費の概算要求でEMP攻撃の研究費として14億円を計上。

またEMPからの防御についても研究は既に始まっており、防衛省はすでに電磁パルスからシステムを防護する技術を開発するべく研究を行っていますが、目処がつくのに早くともまだ5年はかかると言う。

防衛省は2020年には試作弾の完成を目処にしているらしい。

EMP弾は近い将来にも現実となる可能性がある。

だが、現段階ではその効果がどこまでのものかは実は疑わしいところがあるうえ、こと北朝鮮に関しては、存亡のかかった瀬戸際で、そのような不確実な戦術に頼るはずはないだろう、という見方が有力という。

むしろ北朝鮮の狙いは、アメリカや日本の恐怖心をあおることにあり、北朝鮮の「EMP攻撃が可能だ」という挑発に過剰に反応するのが、彼らの「思うツボ」で、最終的な目的は、核の保有を認めさせ、米軍を韓国から追い出し、韓国を吸収合併して、地盤を広げるのが目的だろう。

プーチン大統領の言う通り

北朝鮮は核の放棄は絶対無いだろう。