睡眠

ちょっと疲れたなぁと思った時、「今日は早く寝よう」と心に決めて帰宅することはありますよね?人間の体は、本能的に、睡眠が健康、体調のために良いことを知っていて要求しているのです。睡眠とがんの関係については、自律神経が大きく作用しています。

自律神経とは、読んで字のごとく、自ら律する神経ですから、私たちが特に意識しなくても、勝手に、交感神経と副交感神経のスイッチを入れ替えていきます。

自律神経には交感神経と副交感神経という2つのタイプがありますが、

交感神経は、

いわば、緊張の神経。…昔は戦いの時に活性化された神経ですが、今で言うと、仕事や試験に臨むときに活発になる神経です。もう1つは、

副交感神経は

これは、リラックスがキーワードの神経で、腸管の運動を促進させる働きもあります。
よく、一仕事終えてふと気がつくと、お腹が「ぐるる」と鳴って急に空腹を感じることがありますが、これは、まさに、交感神経から副交感神経に入れ替わったことによるものです。

通常は、この交感神経と副交感神経のスイッチが1日の中で適宜入れ替わっていくことで体のコンディションは整えられていきます。

そして、睡眠は、このスイッチに大きな役割を果たしています。睡眠とは、リラックスの極致です。

すなわち、交感神経から副交感神経へとスイッチを入れ替えることで、ゆっくりと休むことができます。

副交感神経が働いているときには、

NK細胞やヘルパーT細胞

といった、免疫に関わる細胞が活性化すると考えられています。

これらの細胞は、がんのもととなる「ミスコピーの細胞」を見つけ出し消去していく働きを持ちます。

また、睡眠の質と量とが十分ではないと、1日のリズムの中で、交感神経の過緊張状態が続くことになります。

交感神経の過緊張は、老化や遺伝子損傷の原因となる活性酸素の発生を招きやすいと考えられています。すなわち、細胞のミスコピーを誘発しやすいということができます。




すなわち

がん予防の観点からは、

良い睡眠というのは、交感神経と副交感神経のスイッチを適宜入れ替えていくことで、自己免疫力の維持と、活性酸素発生の抑制というメカニズムによって、広い意味でのがん予防につながると考えることができます。

適正な睡眠時間は、個人差があると思いますが、やはり、6~7時間程度は確実にを念頭におきながら、起床後の熟睡感も目安にされるとよいと思います。

また、その一方で、人間には

サーカディアンリズム(概日リズム)

と呼ばれる生まれつき持っているリズムがあります。簡単に言うと、

夜明けとともに交感神経を活性化させて活動し、日没とともに副交感神経へスイッチを入れて休息するというリズムです。

24時間化が進む私たちの社会では、どうしても、昼夜逆転がおこりやすい環境になってきています。

しかし、人間も自然の一部であるということも考えて、やはり日付が変わる前には床につき、朝気持ちよく目覚めるというリズムを習慣にしておくことは、大切なことだと思います。